斜視の治療法
斜視の治療法とは
斜視の治療法には、大きくわけて2種類の対処があります。
遠視が原因の斜視(調節性内斜視)は、基本的に、遠視用メガネを装用することによって、治療します。
そのほかの斜視にかんしては、手術を検討することになります。
ただ、ケースバイケースなので、かならず斜視の手術を行なうわけではありません。
しかし、乳幼児の場合は、斜視をほうっておくと、両眼視機能の発達がさまたげられてしまいます。また、ものを見る力が育たなくなり、弱視に発展してしまうので、早急に手術を行なうことがほとんどです。
斜視の治療の目標
斜視の治療によってめざすことは、もちろん、ずれている眼位(目の位置)を正すことです。こういった「見た目」は、幼稚園や小学校に入学するまでに、治療を行なうことが、子供のためにもたいせつです。
しかし、乳幼児の場合、斜視が原因となって、すでに弱視が発生しているケースでは、弱視治療を優先させます。
弱視を治すまえに、斜視の手術を行なうと、また、斜視になることがあります。
斜視が原因の「斜視弱視」の治療では、いいほうの目をふさぐ「遮蔽法(しゃへいほう)」が有効です。これは、わるいほうの目を積極的に使わせることで、視機能の発達をうながそうというものです。
そのほか、斜視の治療によって、両目でものを見る両眼視機能の発達をうながします。こどもの両眼視機能は、6歳当たりで完成するので、それまでの治療がたいせつです。
”眼筋まひ”の場合は、プリズムレンズを使って、両目で見るようにすることができます。
調節性内斜視の治療法
調節性内斜視の治療法は、遠視のメガネをかけることに尽きます。
内斜視になるのは、過剰に目の調節力を使うために、寄り目になるからです。そこで、メガネによって調節を手伝ってあげれば、こどもは過剰に寄り目をすることもなくなり、しぜんに内斜視が改善されていきます。
ただし、乳幼児が使う遠視用のメガネを作るさいに、行なうことがあります。
まず、点眼薬によって、子供の目の調節力を弱める必要があります。そうしないと、目にただしく合うメガネが作れないのです。
そのために、眼科で点眼するだけでなく、メガネの作成前に、自宅で1週間ほど、点眼することもあります。
たいていは、遠視用メガネの装用で、調節性内斜視は治ります。
しかし、ごくまれに、斜視が残ってしまう場合があります。この場合は、斜視の手術を行なう必要があります。
すでに弱視を発症している場合
なお、調節性内斜視は、たんなる斜視の段階で発見できれば、遠視用メガネを装用するだけで治療できます。
しかし、調節性内斜視から、すでに、弱視を発症している場合は、メガネをかけたうえで、いいほうの目をかくす「遮蔽法(しゃへいほう)」を行ないます。
アイパッチという、大き目の”ばんそうこう”のようなものを目に貼る方法です。あるいは、眼帯、すりガラスを使ってかくす方法もあります。
そのほかの斜視の治療法
調節性内斜視以外の治療法は、たいてい手術を行ないます。
斜視の手術
斜視の手術は、大きくわけて2種類あります。「前転法」と「後転法」です。
眼球に付着している外眼筋を短く切ったり、位置をずらしたりして、外眼筋全体のバランスをよくするのです。
斜視の手術では、「もどり」が発生することがあり、再手術ということもめずらしくありません。そのため、やや過矯正することが多いようです。
遮蔽法
乳幼児の場合、すでに弱視が発生しているケースでは、手術前に、いいほうの目をかくす「遮蔽法(しゃへいほう)」を行なったりします。これによって、視機能の発達をうながすのです。
3歳までに対処すれば、弱視が回復する確立は高くなります。
プリズムレンズ
両眼視機能を育てるために、プリズムレンズを使う場合があります。
大人の眼筋まひ(麻痺性斜視)の場合に、プリズムレンズが使われることがあります。プリズムレンズを使うことによって、斜視があっても、両方の目で、同じ指標を見ることが可能になります。

ボツリヌス毒素の注射
新しいものとしては、ひっぱりすぎている外眼筋のほうに、「ボツリヌス毒素」というものを注射する斜視の治療法もあります。
これによって、強いほうの外眼筋をまひさせて、力をよわめ、外眼筋全体のバランスをとろうというわけです。
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