心因性視力障害
心因性視力障害とは
心因性視力障害とは、眼科的になんの疾患もないのに、視力が低下してしまう、子供の目の症状です。
検査をしても、近視や遠視といった屈折異常が見あたらず、網膜や視神経をしらべても、異常がない場合。こういったときは、心因性視力障害をうたがいます。心因性視力障害の場合、たとえ屈折異常があっても、メガネなどによる矯正が、あまりできなくなります。
心因性視力障害は、8〜14歳あたりの、小学生や中学生に多く発症します。
また、男子よりも女子のほうが4倍程度、かかりやすいといわれています。
地域差はなく、世界中で、同様の年代の子供に発症します。
心因性視力障害になっても、子供には自覚症状はないものです。
たいていは、学校の定期健康診断で指摘をうけます。
心因性視力障害は、目の心身症(眼心身症)の一種です。
なんらかの精神的なストレスが、目に症状としてあらわれたと考えられます。
70〜80%の児童は、3ヶ月程度で治るといわれています。
しかし、なかには、1年たっても治らないケースもあります。この場合は、精神科の助けを借りることになる場合があります。
心因性視力障害と脳
心因性視力障害では、眼球や、”視神経などの視覚伝導路”には異常がありません。最後の「脳」が情報をうけつけないため、視力が低下するのです。
「見る」という行為は、眼球だけではできません。
網膜でとらえた情報が、視神経をつたわって、脳までとどいて、ここで認識したときに、はじめて「見える」と感じるのです。
こどもの脳は、10歳くらいまでは未完成で、変化に対応する力を秘めています。裏を返せば、こどもの脳は、それだけ、外界から影響を受けやすいということです。ささいなことでも、子供にとっては、とてつもなく大きいものに感じられるのです。
子供におきる心因性視力障害は、脳にストレスがかかった結果、脳が「一時的に」ものを見ようとしなくなった状態です。一時的なものなので、弱視とは異なります。
そのため、深刻に考える必要はまったくなく、じきに治るものです。
心因性視力障害の症状
心因性視力障害のおもな症状は、視力の低下です。
この場合、視力0.2〜0.4程度になることが多いようです。また、遠くだけではなく、近くも見えなくなることがあります。
度数のないメガネを装用させる「トリック検査」を行なった場合、視力が1.0以上でたりします。度が入っていないので、裸眼で見ていることといっしょです。目には異常がない証拠です。
視力の低下にともなって、視野がせまくなる、夜盲症、色覚異常といった視覚障害をともなうことがあります。
そのほか、チック、まぶしさ、眼精疲労、斜視、複視などがあります。
心因性の聴力障害、頭痛、腹痛などの、目以外の心身症を併発することもあります。
心因性視力障害の原因
心因性視力障害の原因は、60%ほどは、不明の場合が多いようです。
考えられる要因としては、本人の性格や気質と、環境に分けられます。
親にみとめられたいとか、いい子でいたい、と考える子供に多いといわれています。また、自分の感情を優先させず、ストレスをおさえこもうとする傾向の子供に多くなります。
環境要因は、家庭内と家庭外に分かれます。
とくに家庭内において、母親の愛情が大きくかかわっているようです。
この場合、子供に過干渉するケースと、関係が希薄なケースとがあります。
母親をはじめとする大人が、適度に子供にかかわっていくことが、改善のポイントです。
心因性視力障害の治療法
心因性視力障害の治療法は、カウンセリングを行なったりします。
また、眼科の医師が養護教諭と連絡をとったり、母親と子供と、別々に面談したりします。
もっとも大事なことは、母親などの保護者が、症状を正しく理解することです。そして、ストレスの原因がわかれば、それを取り除くようにしていきます。
眼科へ、お母さんといっしょに診察に行くことが、母子関係を見直すきっかけにもなります。小さい子供の場合は、母親がだっこして点眼する、「だっこ点眼療法」があります。
