緑内障の症状
緑内障の症状は、多く分けてふたつあります。
ひとつは自覚症状もなく、ゆっくりと視神経が死滅していき、徐々に視野が欠けていくというタイプ。
もうひとつは、急激に眼圧が上昇し、数日のうちに失明することがある「急性緑内障発作」です。
緑内障は、眼精疲労として現れることもあります。
緑内障と自覚症状
緑内障は、急性のものは別として、たいていは自覚症状もなく、慢性的にゆっくりと進行していきます。
虹彩と角膜の間の「隅角(ぐうかく)」が充分に広い「開放隅角緑内障」は、フィルターの目詰まりが原因で、眼圧があがります。
急性症状のように、完全に出口がふさがるわけではありません。
そのため、網膜の神経線維が少しずつ死滅していきます。
死滅した神経線維の経路にかんしては、脳まで情報を送れなくなるために、視野が欠けていきます。
ただし、開放隅角緑内障のほとんどをしめる「正常眼圧緑内障」の場合は、フィルターは目詰まりをおこしていません。視神経が弱いことが原因です。
この場合も自覚症状がなく、慢性的に進行していきます。
緑内障の症状は年単位で、ゆっくりと進行するので、毎日見ていると気づかないものです。また、視野が欠けるといっても、いきなり黒いものが出現するわけではありません。はじめは光の感度が落ちる程度です。
さらに、両目で見ると、脳が不具合を補正する「両眼視機能」がはたらきます。片方の視野が欠けていても、両目で見るとわからないのです。
そのため片目の視神経の50%を失っても、まだ自覚症状がないのです。
こういった理由から、緑内障は自覚症状にとぼしく、気づいたときには末期にまで進行していて、失明と隣り合わせになっているのです。
緑内障と視野
緑内障は、視野が欠けたり、視野がせまくなる症状の眼病です。
視野というのは、1点を見たまま、目を動かさないで見える範囲のことです。片目を閉じた場合の視野は、上が60℃、下が75℃、鼻側が60℃、耳側が100℃程度です。
緑内障にかかった場合、初期の段階で、視野の中心部分から欠けていくことは、まずありません。たいていは中心の少し上あたりか、鼻側から欠けていきます。つぎに、耳側のほうが欠けていきます。

視野の中心部分は、網膜の「黄班部(おうはんぶ)」や「中心窩(ちゅうしんか)」に映っている映像です。ここは視力にとってたいせつな箇所なので、神経線維も強くできているのです。
最終的には、神経線維が強くできている中心部分だけが残ります。
そのため、まるで筒からのぞいているような見えかたになります。
このまま何もせず、緑内障の症状を放置すると、失明することになります。
緑内障の急性発作
緑内障では、まれに急性発作がおきることがあります。
急性発作の症状としては、眼痛、目の充血、頭痛、吐き気があります。
目の症状以外に、内科的、脳外科的な症状もあらわれます。そのため見分けることがむずかしく、処置がおくれて失明にいたることがあります。
急性緑内障発作は、「閉塞隅角緑内障」の人におこります。
しかし閉塞タイプのなかでも、急性発作をおこす人は数パーセントです。
閉塞隅角緑内障にかかっている誰もが、急性発作をおこすというわけではありません。
緑内障の急性発作がおきると、急激に視神経が減少します。
そのため眼科へ行かずに放置していると、数日のうちに失明することがあります。早ければ、一晩のうちに失明するほど危険な症状です。
ただし、ほとんどの緑内障は、年単位でゆっくりと進行していきます。
緑内障の分類で言えば、「開放隅角緑内障」です。このタイプは、急性発作がないかわりに、自覚症状にとぼしいという特徴があります。
そのため、気づいたときには末期になっていることが多いといえます。
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