緑内障の治療法

緑内障の治療法とは
緑内障の治療法は、「点眼療法」と「手術療法」に分けられます。
緑内障には、「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」のふたつがあります。このふたつは、発生原因も症状のあらわれかたも、まったくちがいます。
そのため、緑内障の治療法も異なってきます。
緑内障の治療は、発見が早いほど効果的です。
しかし、いったん死滅した視神経を治すことはできません。欠けた視野は、もとにはもどらないのです。
緑内障の治療は、あくまで、それ以上症状を進ませないためのものです。
まず開放隅角緑内障は、点眼治療からはじめます。
点眼薬によって眼圧を下げ、緑内障の進行をストップさせるのです。
点眼薬の効果があらわれたら、そのまま点眼治療をつづけます。
しかし、点眼治療によって効果がみられない場合は、手術を行ないます。
手術にはレーザーを当てるものと、メスを入れるものがあります。
いっぽう閉塞隅角緑内障は、基本的には手術療法のみとなります。
レーザーによって虹彩に穴をあけ、房水の通り道をつくるのです。
緑内障の薬物療法
緑内障の薬物療法は、おもに慢性的にすすんでいく「開放隅角緑内障」に処方されます。
薬物療法には、「点眼薬」や「内服薬」、「点滴治療」があります。
緑内障でおもに使われる薬は、このなかの点眼薬です。内服薬は副作用があるため、あまり使われません。
点眼薬には、ふたつの役割があります。
ひとつは、眼球の内部をめぐっている房水の産生をおさえるはたらきです。
もうひとつは、房水の排出をよくするはたらきです。
緑内障の薬物療法では、患者さんの目の状態を見ながら、どの薬を組み合わせていくかを決めていきます。緑内障の点眼治療はオーダーメイド治療であり、個人個人で異なるのです。
たいていは点眼治療によって、開放隅角緑内障の症状はよくなります。
しかし点眼薬では改善されない場合、レーザー治療を行ないます。
正常眼圧緑内障の点眼療法
開放隅角緑内障のほとんどをしめる「正常眼圧緑内障」の場合でも、点眼療法を行ないます。
正常眼圧緑内障にかかっている人は、視神経が弱いために、正常な眼圧の範囲内(10〜21mmHg)であっても視神経が死滅し、緑内障になります。
その人独自の、眼圧の安全圏内をもっているのです。
眼圧が正常な「正常眼圧緑内障」の場合、眼圧が高いことが緑内障の原因ではありません。しかし、フィルターがつまって眼圧が上がる緑内障と同様に、点眼薬によって眼圧を下げるようにします。
これにより、進行がストップすることがあるからです。
緑内障の約7割をしめる正常眼圧緑内障は、正確な診断が下され、治療方針が決まるまで、”5年から10年”はかかるといわれています。
緑内障は、長くつきあっていく眼病と考えたほうがよいでしょう。
閉塞隅角緑内障の薬物療法
閉塞隅角緑内障の場合は、基本的には点眼治療ではなく、レーザー治療を行ないます。
しかし、緑内障の急性発作をおこすと、眼圧の急激な上昇がおこります。
そこで、とりあえず危険を回避するために、点眼や点滴によって一時的に眼圧を下げることがあります。
薬物療法によって危険な状態を回避してから、手術を行なうわけです。
また緑内障の急性発作によって、眼圧が急激に上昇すると、その影響で透明な角膜が白くにごることがあります。
こうなると、「レーザー虹彩切開術」という手術を行なう場合、虹彩(こうさい)までレーザーが届きません。そこで、まず薬物療法によって眼圧を下げます。そうして、角膜を透明にしてから手術を行ないます。
また閉塞隅角緑内障であっても、隅角が閉じたり開いたりをくりかえして、慢性的に進行していく場合があります。
このケースでは、排出部のフィルターである「繊維柱帯(せんいちゅうたい)」が目づまりをおこしていることがあります。
つまり、閉塞タイプと開放タイプの両方の緑内障を併発しているわけです。この場合も、薬物療法と手術療法を行ないます。
緑内障の手術療法
緑内障の手術療法は、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障で異なります。
開放隅角緑内障は経過がゆるやかなため、それほど急いで治療することはありません。そのため前述したように、まずは点眼薬で様子をみます。
点眼治療が思わしくない場合に、手術を行なうことになります。
開放隅角緑内障の手術には、ふたつあります。
レーザーで目づまりを取りのぞく「レーザー繊維柱帯形成術」と、繊維柱帯を切りとる「繊維柱帯切除術(トラベクレクトミー)」です。
閉塞隅角緑内障では、まず手術を行ないます。
いつ隅角がとじて、急性発作をおこさないとも限らないからです。
閉塞隅角緑内障の手術は、虹彩(こうさい)に穴を開けて房水の通り道をつくる「レーザー虹彩切開術」が主流になっています。
前項で書いたように閉塞隅角緑内障の場合、一時的に薬物を使用することはあります。しかし、開放タイプの緑内障と違って閉塞タイプは、いつ隅角がとじて急性発作をおこさないとも限らない「危険な状態」です。
そのため、点眼薬によって長期的に様子をみるということはしないのです。
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