網膜の病気
- < 目次 >
- 網膜がやぶれる病気
- 網膜裂孔
- 網膜剥離(はくり)
- 網膜の病気と高血圧・動脈硬化
- 高血圧性網膜症
- 動脈硬化と網膜 ( 網膜静脈閉塞症、 網膜動脈閉塞症 )
- 黄斑部の病気
- 中心性網膜炎
- 黄斑変性症
- そのほかの網膜の病気
- 糖尿病網膜症
- 網膜色素変性症
網膜の病気とは
網膜の病気といっても、さまざまです。
網膜とは、眼球のもっとも内側にある膜です。
ここは、角膜から入ってきた光が像をむすぶ、スクリーンにあたります。
そのため、網膜というスクリーンの”質”に異常がおきると、映りがわるくなります。スクリーンのまえにものがあっても、邪魔で見えなくなります。
網膜の病気の代表的なものとしては、網膜に穴があく「網膜裂孔(れっこう)」、網膜がはがれる「網膜剥離(はくり)」。
さらに、網膜の動脈や静脈がつまってしまう病気。それによる眼底出血。
新しく臨時でつくられる「新生血管」ができると、硝子体(しょうしたい)などへも進出し、網膜の病気だけではすまなくなります。
そのほか、網膜上に何億個としきつめられている「視細胞」に異常がでると、光や色を感知できなくなります。
網膜の中でも、もっとも感度がよい「黄斑部(おうはんぶ)」に障害がおきると、視力は急激に低下して、もとに戻らなくなることが多くなります。
網膜がやぶれる病気
網膜裂孔
網膜裂孔(れっこう)とは、網膜剥(はくり)までは行かない、一歩手前の網膜の病気です。
網膜裂孔は、網膜に穴があいたり、亀裂が入っただけの状態。
このため、視力の低下はおこりません。この段階で治療を行なえば、網膜はく離へ移行することなく、完治させることができます。
網膜裂孔がおきると、目の前にゴミが浮かぶようにみえる「飛蚊症(ひぶんしょう)」や、暗いところでも光がみえる「光視症」がおきることがあります。
網膜裂孔の治療法としては、外来でかんたんに受けられる「レーザー光凝固療法」などがあります。
網膜剥離
網膜剥離(はくり)とは、網膜が眼底からはがれる病気です。
現在は治療を行なえば、9割がたは治すことができます。
しかし、放置していると、視力障害が残ったり、失明することもあります。
予兆としては、前述の網膜裂孔と同様に、飛蚊症や光視症などがあります。そのほか、視野が欠けたり、視界がぼやけたりすることもあります。
網膜剥離は、網膜裂孔がきっかけになるだけではなく、打撲や白内障、アトピー性皮膚炎などでも発生します。
網膜剥離の治療法としては、物理的に強膜をくぼませて、網膜を眼底に押しつけたりします。また、硝子体手術によって、ガスを注入し、その圧力で網膜を眼底に押し付ける方法もあります。この場合、入院が必要になります。
網膜の病気と高血圧・動脈硬化
高血圧と網膜の病気
高血圧がつづくと、網膜の病気にかかりやすくなります。
高血圧とは、動脈の血管壁にたいする圧力が強い状態。
そのうえ、網膜の血管は、細く弱い「毛細血管」の集まりです。
そのため、血圧が高くなると、網膜の毛細血管に負担がかかります。
高血圧が原因となって、網膜の血管がやぶれ、眼底出血をおこす病気を「高血圧性網膜症」といいます。
この病気は、自覚症状にとぼしいという特徴があります。
たとえ、眼底出血をおこしても、しぜんに吸収されて治ってしまうものです。
しかし、視力にとってたいせつな黄斑部(おうはんぶ)に出血やむくみがおこると、急激に視力が低下します。
高血圧を放置していると、動脈硬化が進みます。
動脈硬化は、網膜静脈閉塞症や網膜動脈閉塞症を引き起こしていきます。これらの病気は、いったん視力が低下すると、元に戻らないことがあります。
動脈硬化と網膜の病気
動脈硬化があると、網膜の血管に障害がおき、目の病気にかかりやすくなります。長年、高血圧がつづくと、動脈硬化をひきおこします。
網膜では、動脈と静脈は接しているため、硬化した動脈が静脈を圧迫することに。このため、動脈硬化の初期には、まず、静脈がつまりやすくなります。
静脈血が眼球内にとどこおって、眼底出血をおこす病気を「網膜静脈閉塞症」といいます。
動脈硬化がさらに進んでいくと、動脈自体に血栓ができて、つまるようになります。動脈がつまると、網膜の視細胞に酸素と栄養を供給できなくなります。これを「網膜動脈閉塞症」といいます。
こうなると、短時間のうちに視細胞が死滅し、視野が欠けることに。
動脈の根元がつまる「網膜中心動脈閉塞症」の場合、早急に処置をしないと、失明する危険があります。
黄斑部の病気
黄斑部(おうはんぶ)は、網膜の中心部に位置します。
ここは、視野の中心部にあたり、もっとも解像度の高い部分です。
黄斑部で見た視力が、いわゆる「中心視力」にあたります。
中心性網膜炎
中心性網膜炎(網膜症)とは、視力にとってたいせつな「黄斑部(おうはんぶ)」に水分がたまる病気です。30〜50歳の男性に多く発症します。
正式には、「中心性漿液性網脈絡膜症(ちゅうしんせい・しょうえきせい・もうみゃくらくまくしょう)」といいます。
中心性網膜炎は、黄斑変性症と似たような症状があらわれます。
視界の中央がゆがんだり、黒ずんだりします。また、ものが小さく見えたりします。たいていは片目におこります。
中心性網膜炎が発症する原因は、ストレスだといわれています。
ストレスがたまると、網膜色素上皮層に異常がおき、脈絡膜から水分が浸入してきて、むくむのです。
たいていは経過観察になります。
数ヶ月で、自然になおります。ストレスをかけると、再発することもあります。
この症状は、それほど重症化する心配はありません。
黄斑変性症
黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)は、網膜の中心にある「黄斑部」が変性して起きる眼病です。
黄斑部が障害されると、視界の中心部がゆがんだり、黒ずんだりして見づらくなります。そのため、日常生活が不便になります。
黄斑変性症は、50代半ばころから発症し、年齢が上がるほど多くなります。
黄斑変性症には、「萎縮(いしゅく)型」と「滲出(しんしゅつ)型」があります。
萎縮型は進行がゆっくりで、それほど危険な症状ではありません。
しかし、有効な治療法が確立されていないというのが現状です。
滲出型は、新生血管がやぶてれ出血します。
このタイプは、進行がはやく、緊急に手術が必要になります。
そのほかの網膜の病気
糖尿病網膜症
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症としてあらわれる眼病です。
末期にいたるまで、自覚症状がないため、失明することが多くなっています。
糖を多くふくんだ血液は、網膜の毛細血管にダメージをあたえます。
粘着性がある血液のため、毛細血管をつまらせ、血流をわるくするのです。
網膜が酸欠状態になると、急ごしらえで、「新生血管」が作られます。
しかし、この血管はもろく破れやすいため、出血をくりかえします。
新生血管が増殖すると、網膜剥離や緑内障を引きおこすことがあります。
網膜色素変性症
網膜色素変性症とは、網膜のなかでも、光を感じる視細胞が異常をおこす病気です。
網膜には、ふたつの視細胞が何億個と密集しています。
ひとつは、中心部に密集し、色や形を認識する「錐体(すいたい)細胞」。
もうひとつは、網膜の周辺部に広く分布し、暗いところで光を感知する「桿体(かんたい)細胞」。
網膜色素変性症は、このうち、桿体細胞に異常が起きてくる病気です。
進行は人によってさまざまで、急激に進行して失明にいたる人もいます。
そのいっぽうで、一生、不自由なく暮らせる人もいます。
この病気は、原因が不明で、治療法も確立されていません。
現在、「難病の特定疾患」に指定されています。
