網膜剥離
網膜剥離とは
網膜剥離(はくり)とは、網膜が眼底から、はがれてしまう症状です。
網膜には、角膜から入ってきた映像の光や形、色を感じる視細胞が何億個としきつめられています。
その網膜は、外側にある脈絡膜(みゃくらくまく)から、酸素と栄養をうけとっています。
脈絡膜には、毛細血管が張りめぐらされているのです。
そのため、網膜が眼底からはがれる「網膜剥離」になると、酸素と栄養の供給がとだえ、老廃物がたまってしまうことに。
こうなると、網膜の視細胞が死滅していくため、たとえ網膜に光が届いても、ものを見れなくなります。
こうして、死滅した部分の視細胞に関しては、視野が欠けます。
これを放置していると、網膜が全層にわたって眼底からはがれ、失明します。
現在の眼科医療では、網膜剥離になっても、9割がたは治すことができます。早期に治療を行なえば、いったん落ちた視力でも回復させることができます。しかし、放置していると、欠けた視野は、もとにもどらないことがあります。
網膜剥離のメカニズム
網膜は、「神経網膜」と「網膜色素上皮層」の二つに分けることができます。
神経網膜には、光や色、形を感知する視細胞が約2億個、敷きつめられています。網膜色素上皮層は、脈絡膜と神経網膜の仲介をする層です。
脈絡膜には毛細血管が張りめぐらされています。
そこからの酸素と栄養を、網膜色素上皮層が神経網膜へと受け渡しているのです。
網膜剥離とは、神経網膜と網膜色素上皮層との間に、硝子体(しょうしたい)の水分が浸入してきて、はがれてしまう症状です。
そのため、色素上皮層から神経網膜へ、酸素と栄養を渡せなくなります。
こうなると、神経網膜にエネルギーが供給されなくなります。その結果、視細胞が死滅し、視野が欠けるのです。
網膜剥離の原因
網膜剥離の原因には、網膜裂孔から進行するものと、いきなり網膜剥離をおこすものとがあります。
網膜裂孔は、たいてい「後部硝子体はく離」が原因になります。
この現象自体は加齢現象であり、心配はないものです。しかし、まれに網膜裂孔を引き起こします。
それを放置していると、網膜剥離へと進行していくのです。
そのほか、目への「打撲」、「強度の近視」、「白内障」、「アトピー性皮膚炎」なども網膜剥離の原因となります。
網膜剥離は「遺伝」の影響も受けます。
肉親に網膜剥離をおこした人がいる場合は、要注意です。
網膜剥離は、他の目の病気から併発することもあります。
糖尿病網膜症や網膜静脈分枝閉塞症などです。
網膜剥離の症状
網膜剥離の症状としては、目のまえに糸くずが浮かんで見える「飛蚊症(ひぶんしょう)」。暗いところで光が見える「光視症」があります。
これは、網膜裂孔でもおきる症状です。
そのほか、網膜剥離の症状としては、「視野の欠け」や「視力の低下」。
ものがゆがんで見える「変視症」、視界に霧がかかったように見える「霧視(むし)」といったものがあります。
こういった症状があらわれたら、すぐに眼科で診察をうけることです。
早期に治療を行なえば、9割がたは治すことができます。
放置していると、網膜の視細胞が死滅して、失明につながっていきます。
網膜剥離の手術
網膜剥離の手術には、「強膜バックリング」と「硝子体手術」があります。
いずれも2〜3週間の入院が必要です。この手術によって、早期に治療を行なえば、9割がたの網膜剥離は完治します。
「強膜バックリング」は、シリコンを強膜(眼球の外側の白い部分)から巻きつけたり、縫いつけたりします。
これによって、強膜のほうから網膜に近づけるわけです。
「硝子体手術」は、眼球内に、網膜を引っぱっているものがある場合、行ないます。
たとえば糖尿病網膜症では、臨時にできた新生血管が、網膜に増殖膜を張ります。硝子体手術によって、網膜剥離の原因となっているものを切除するわけです。
硝子体手術では、眼球内に「特殊なガス」を送り込みます。
これによって、はがれた網膜を眼底におしつけて、もとの位置にもどします。ガスが抜けるまで、しばらくの間、うつむき姿勢をつづける必要があります。
