網膜剥離の原因
網膜剥離の原因とは
網膜剥離の原因は、大きくふたつに分けることができます。
- 裂孔原性網膜剥離・・・網膜裂孔が原因。穴が広がってはがれる。
- 非裂孔原性網膜剥離・・・いきなり、はがれるタイプ。
ほとんどの網膜剥離の原因は、網膜裂孔がもとになる「裂孔原性」です。
網膜剥離と網膜裂孔
網膜裂孔を放置していたり、気づかずにいると、やがて網膜剥離へと進行していきます。
網膜裂孔とは、網膜に穴があいたり、亀裂が入る症状。
網膜裂孔は、たいてい「後部硝子体はく離」によって引き起こされます。
「後部硝子体はく離」とは、眼球の内部を満たしているゲル状の硝子体が、加齢とともに、ゲル状部分の本体と、水分に分離していく現象。
そのため、膜でつつまれた硝子体の本体は、ちぢんでいきます。このとき、硝子体は膜でつつまれているため、網膜を引っぱるのです。
「後部硝子体はく離」それ自体は、たんなる加齢現象で、生理的なものです。
「後部硝子体はく離」になったからといって、かならず網膜裂孔を引き起こすわけではありません。
しかし、なかには、硝子体膜と網膜の癒着(ゆちゃく)が強い人がいます。
こういった場合、網膜に穴があく可能性があるのです。

網膜裂孔の段階では、脈絡膜から酸素と栄養は供給されています。
そのため、視力の低下もなく、自覚症状にとぼしいといえます。
しかし、そのまま網膜裂孔を放置していると、網膜の穴や裂け目から、硝子体の水分が浸入してきます。
そして、網膜がはがれて、網膜剥離を引き起こします。
非裂孔原性網膜剥離
網膜裂孔以外では、「打撲」や「強度の近視」、「白内障」、「アトピー性皮膚炎」なども、網膜剥離の原因となります。
肉親が網膜剥離になったことがある人は、遺伝が原因で、発症することもあります。また、未熟児でうまれると、幼児期に網膜剥離になることがあります。
ボクシングなどで目を強打すると、網膜剥離になりやすいことは、よく知られています。強度の近視の人は、網膜がうすいため、ちょっと目を打っただけでも、網膜裂孔や網膜剥離を引き起こす危険を持っています。
白内障の手術をうけた人は、網膜剥離になりやすいといわれています。
強度のアトピー性皮膚炎をもっている人は、目をたたく習慣により、網膜が悪影響をうけます。
糖尿病網膜症と網膜剥離
そのほか、糖尿病網膜症の末期症状である「増殖網膜症」でも、網膜剥離を引き起こします。増殖網膜症になると、網膜の酸欠が進んでいきます。
これにともなって、それを補うために臨時で「新生血管」がつくられます。

新生血管は、自身をささえる「増殖膜」を網膜に張ります。この増殖膜が収縮をおこしたときに、網膜を引っぱり、網膜剥離をおこすのです。
「網膜静脈分枝閉塞症」という病気でも、同様の理由で、網膜剥離を起こす可能性があります。
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