網膜剥離のメカニズム
網膜剥離のメカニズムを解説。
網膜剥離になると、網膜への、酸素と栄養の供給経路がとだえます。
そうすると、網膜の視細胞が死滅し、その部分の視野が欠けていきます。
網膜剥離が眼底の全層に広がった状態で、そのまま放置していると、高い確率で失明することになります。
網膜の構造
まず、網膜は10層構造になっています。
網膜は、「神経網膜」と「網膜色素上皮層」のふたつに分けることができます。

10層のうち内側の9層は、「神経網膜」といいます。
神経網膜には、色や形を感じる「錐体細胞」や、光を感じる「捍体(かんたい)細胞」といった視細胞が2億個ほど、びっしりと敷きつめられています。
さらに、視細胞で変換された電気信号を、視神経乳頭まで運ぶネットワーク・ケーブルである「神経線維」などが張りめぐらされています。
脈絡膜よりにある、のこり1層の網膜は、「網膜色素上皮層」といいます。
これは、脈絡膜と神経網膜を仲介する層です。
具体的には、脈絡膜にある動脈から、酸素と栄養素を神経網膜に渡します。同時に、神経網膜から排出された老廃物を、脈絡膜にある静脈に渡すというはたらきがあります。
網膜剥離の様子
網膜剥離を放置していると、なぜ視野が欠けるのでしょうか?
網膜剥離とは、神経網膜と網膜色素上皮層との間に、硝子体(しょうしたい)の水分が浸入してきて、はがれてしまう症状です。
そのため、色素上皮層から神経網膜へ、酸素と栄養を渡せなくなります。
こうなると、神経網膜にエネルギーが供給されなくなってしまいます。

この状態を放置していると、視細胞が死滅して、欠けた視野はもとにもどらなくなります。
とくに、視力にとってたいせつな網膜の中心部分「黄斑部(おうはんぶ)」がはがれると、急激に視力が低下します。
この部分がはがれると、障害がのこる可能性があります。
網膜が、眼底の全層にわたってはがれたまま放置していると、完全に酸素と栄養の供給経路が途絶え、すべての視細胞が死滅します。
いったん視細胞が死滅してしまうと、網膜剥離の手術を行なっても、視力は回復せず、失明してしまいます。
そのため、視細胞が死滅するまえの「早期発見」がポイントになります。
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