エキシマレーザーとは
エキシマレーザーとは何か
エキシマレーザーは、もともとアメリカで開発されました。
眼科の治療には、1980年代から活用されるようになってきました。
エキシマレーザーのしくみは、ガスの混合物に高電圧をかけます。
これによって、レーザー光を発生させるのです。これは紫外線の一種。
エキシマレーザーは、”約193ナノメートル”という非常に微細なもの。
ちなみに1ナノメートルは、1ミリの100万分の1。ミクロレベルの単位です。
このためエキシマレーザーは、分子レベルで活用されています。
体の組織を正確に切除したり、切開することができるのです。
エキシマレーザーの医療への活用
エキシマレーザーは、安全なものです。
そのため医療の分野で、積極的に活用されています。
エキシマレーザーには、従来のレーザーのような衝撃波や熱がありません。
非常に弱いエネルギーです。そのため分子に衝突すると、その分子をはじき飛ばしたあとに消滅。
エキシマレーザーは、目標とする分子以外には、影響を与えないわけです。

レーシック手術でいえば、エキシマレーザーを角膜に照射すると、レーザーが当たった角膜の分子のみを、けずります。
角膜より先に、レーザーが進んでいかないのです。
エキシマレーザーが、水晶体や網膜に影響をあたえる心配はないわけです。
エキシマレーザーは、こういった特徴をもつため、眼科以外の医療分野においても活用されています。たとえば心筋梗塞の治療において、冠動脈血栓をとりのぞくさいにも使われているのです。
エキシマレーザーと屈折矯正手術
エキシマレーザーは、近視などの屈折矯正手術に活用されています。
もともと近視手術は、「RK」という手術からはじまりました。

これは瞳孔(どうこう)を中心として、角膜に放射線状に切れ込みを入れる手術。
執刀医の腕と勘だけがたよりでした。
そのため切れ込みを入れすぎたり、合併症が多発していたのです。
その後、エキシマレーザーが登場。
同時にRKに変わるものとして、「PRK手術」という手術が開始されました。
これはエキシマレーザーを、角膜の表面から照射するというもの。
エキシマレーザーは、コンピュータによって制御されています。
そのため、手術の精度は飛躍的に向上しました。エキシマレーザーは、日本では2000年に、厚生労働省によって認可をうけています。

PRKのあとに登場した「レーシック」では、まずフラップをつくります。
つぎに、エキシマレーザーを照射。
二段階をふむことによって、さらに高度な手術となりました。
いずれの手術法でも、エキシマレーザーを照射することによって、角膜をけずります。これにより角膜の屈折力が弱まるため、近視を矯正できるのです。
これは、エキシマレーザーを使用した近視矯正手術の基本原理。

反対に遠視の治療は、角膜中央部をのぞいた周辺部に、エキシマレーザーを照射。
これによって、角膜の屈折力を強めるわけです。
コンピュータによる解析と制御の能力は、年々向上しています。
そのため今後、さらに手術の精度が上がっていくものと思われます。
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