視力回復手術
- < 目次 >
- 視力回復手術の種類
- レーザーでけずる手術 (PRK、ラセック、レーシック)
- 埋め込み型の手術 (フェイキックIOLなど)
- そのほかの手術 (白内障、老眼)
- 豆知識 (手術の歴史)
視力回復手術とは
視力回復手術とは、目に手術をほどこすことによって、裸眼で快適に見えるようにする治療法です。
視力回復手術を行なえば、メガネやコンタクトレンズを装用する必要がなくなります。矯正器具がなくても、満足な視力を得ることができるようになります。
いまや近視だけではなく、乱視や遠視、老眼も治療することができる時代に。「白内障手術」も、ぼやけた視界を改善するという意味では、視力回復手術のひとつといえます。
近視や遠視といった、屈折異常を矯正する手術のひとつに、「レーシック」があります。レーシック手術はアメリカで始まりました。日本にも徐々に広まってきています。手術は15〜30分程度で終了。日帰りも可能になっています。
レーシックでは手術した直後から、高い視力が得られます。
即効性のある、視力回復の方法といえます。しかし、いくつかのデメリット・後遺症の危険もあります。
レーシック手術を考えている人は、こういったデメリットを熟知したうえで、うけることがたいせつです。
視力回復手術の種類

視力回復手術には、いろいろな種類があります。
大きく、ふたつに分けることができます。
- @ エキシマレーザーを照射して、角膜をけずる方法
- A 角膜をけずらずに、目にレンズを埋め込む方法

レーザーでけずる視力回復手術

角膜にエキシマレーザーを照射することによって、角膜を平らにけずる視力回復手術です。
これによって、角膜の屈折力を弱めます。
- ■ PRK手術
PRKは、角膜上皮層から直接、エキシマレーザーを照射する手術法。
レーシックのように、フラップ(ふた)をつくりません。そのため、強度の近視を矯正することが可能。また角膜を厚くのこせるため、格闘技の選手にむいています。
ただし、手術後は痛みがあります。視力回復に時間がかかるという難点も。- ■ ラセック(LASEK)手術
ラセックは角膜上皮層だけを、うまくめくって、フラップをつくる手術法。
フラップをつくるさい、アルコールを使用します。上皮層だけをめくるので、より多くの角膜実質層をけずることができます。
そのため、強度の近視でも矯正が可能。角膜が薄い人にも向いています。
PRKと同様に、角膜を厚くのこせるため、角膜の強度を高くたもてます。
ただし、アルコールが危険との指摘も。- ■ レーシック手術
レーシックは、まさに視力回復手術の代名詞。
まず、マイクロケラトームという機械などをつかって、角膜にフタをつくります。最近では、イントラレースというレーザーによるフラップ作成が主流に。フラップ作成後、エキシマレーザーを照射。角膜の屈折力を弱めます。
さいごに、フタ(フラップ)を閉じるため、角膜が保護されます。(上図を参照)レーシック手術では、手術直後から視力回復を実感できます。
日帰りも可。痛みは、ほとんどありません。ただし、角膜の強度が弱くなるという欠点が。エピレーシック手術やイントラレーシックがあります。
埋め込み型の視力回復手術
角膜や眼球内に、レンズなどを埋め込むことによって、視力を矯正します。
埋め込み型の手術では、レーザーで角膜をけずりません。
そのためレンズを取り出せば、もとの状態にもどせるというメリットが。
「角膜内リング」、「角膜内レンズ」、「フェイキックIOL」の三つがあります。
■ 角膜内リングは、軽度から中程度の近視しか矯正できません。
ただし、レーシック手術と組み合わせることで、強度の近視に対応できます。
■ 角膜内レンズは、中程度の「遠視」を矯正する手術。
レーシック手術のように、フラップをつくり、角膜内にレンズを埋め込みます。
■ フェイキックIOLは、「有水晶体眼内レンズ」ともいいます。
レーシック手術では対応できないような、最強度の近眼でも矯正可能です。
そのほかの視力回復手術
近視などの屈折異常を矯正する手術のほかに、老眼や白内障を治療する視力回復手術もあります。
白内障手術では、近視や老眼も同時に治すことが可能です。
- ■ 老眼手術
- 老眼手術は、CK(伝導式角膜形成術)といわれています。
角膜の周囲にレーザーではなく、高周波エネルギーを照射。
これによって角膜の凸を強めます。老眼手術は、遠視の治療でもあります。 - ■ 白内障手術
- 白内障手術は、現在「超音波乳化吸引術」という方法が行なわれています。これは白くにごった水晶体を、超音波でくだいて吸引。そのあとに、人工の眼内レンズを挿入するというもの。
眼内レンズには、遠近調節が可能なものが登場するようになりました。
このため白内障と同時に、近視や老眼も矯正できるようになっています。
視力回復手術の豆知識
視力回復手術の歴史
近視などを矯正する、視力回復手術の歴史は、まだ始まったばかりです。1970年代に、ロシアからはじまりました。
■ RK手術からはじまった

はじめは、RKという治療法が行なわれていました。
この手術では、角膜に対して瞳孔(どうこう)を中心に、放射線状に切れ込みを入れます。これによって角膜の屈折力を弱めて、近視を矯正するのです。
RK手術は、医師の腕と勘だけがたより。
いまのように、コンピュータ制御の機械はありませんでした。そのため、まちがった切れ込みをいれてしまったり、合併症も多発。
いろいろと問題のある手術法でした。
■ PRK手術の登場
その後、アメリカでエキシマレーザーが開発されました。
それにともなって、「PRK」という手術を開始。
しかし、手術後の痛みがはげしく、視力回復に時間がかかるなどの問題があったのです。
■ レーシック手術の登場と進化
PRKの欠点を解決するために登場したものが、「レーシック手術」です。
レーシックは、つぎつぎに改良が加えれられ、現在も進化をつづけています。たとえばフラップの作成は、器械からレーザーへ。
従来型のレーシックにくらべ、合併症、後遺症が少なくなりました。
■ 埋め込み型の手術
さらに、レーシックとは別の流れの、視力回復手術もあります。
これはレーシック手術とはちがって、角膜をけずらない方法。角膜内に、器具やレンズを埋め込むのです。この方法では角膜をけずらないため、角膜をもとの状態にもどせるというメリットがあります。
■ 今後はフェイキックIOLが主流に
なかでも「フェイキックIOL」は、最強度の近視でも矯正が可能。
さらに、レーシックよりも見えかたの質が高いため、注目をあつめています。今後は、視力回復手術の主流になっていくことでしょう。
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