レーシック手術
レーシック手術とは

レーシック(LASIK)とは、角膜にフラップ(ふた)を作成して行なう、視力回復手術です。
PRK手術の欠点をおぎなう治療法として、考案されました。

レーシック手術では、まず角膜をうすくスライス。
フラップ(ふた)を作成します。
昔は「マイクロケラトーム」という器械によってフラップを作成していました。
しかし現在では、「イントラレース」というレーザーによって、フラップを作成する方式が主流となっています。これを「イントラレーシック」といいます。
その後フラップをめくって、エキシマレーザーを照射。
これによって角膜をけずり、屈折力を弱めます。さいごに、ふたたびフラップを元にもどします。
レーシック手術は、15〜30分で終了。
手術直後から、視力が回復します。この点が、ほかの視力回復手術とは異なるところ。1日という短時間で視力回復ができるので、時間をあまり取れない人にむいています。
ただ、ほんとうに安定した視力を得るには、1週間から1ヶ月は必要です。
この間は、近くが見づらかったり、全体的にぼやけて見えたりします。
夜間に見づらくなったりもします。ドライアイの症状がでることも。
しかし、こういったレーシックの後遺症・合併症は、旧式のマイクロケラトームによってフラップを作成した場合。
現在主流のイントラレーシックでは、合併症は非常に少なくなっています。
レーシックでは手術後、目が痛むことはありません。
この点も、ほかの視力回復手術にはないメリットといえます。
レーシック手術の種類
レーシック手術は、フラップのつくりかたによって、三種類に分けられます。

まず、最初に登場したレーシックでは、「マイクロケラトーム」というカンナ状の器具をつかいます。これによって、角膜にフラップ(ふた)をつくります。
この治療法を、「ケラトーム・レーシック」といいます。
このケラトームレーシックを発展させたものが、「エピレーシック」と「イントラレーシック」です。
エピレーシック手術はフラップを薄くできるため、角膜を厚く削り取れます。
このため、強度の近視でも視力回復が可能。手術後の角膜も厚く残せます。理論上、最高のレーシック手術といわれています。
イントラレーシックは、フラップの作成に機械をつかいません。
イントラレーザーを使用します。このため、きれいなフラップ面が作成可能。従来のレーシックでおきがちな、フラップの合併症が少なくなります。
レーシック手術とクリニック選び
レーシック手術は、きちんとしたクリニックで受けることがたいせつです。
そうしないと、思うように視力回復ができなかったり、合併症が多発する可能性が。
クリニック選びの基本は、担当医が「眼科専門医」であるかどうかです。
そのほか、最新の機器を導入しているかどうかもチェックポイント。
たとえば、旧式のマイクロケラトームを使ってフラップを作成する術式は、古いといえます。いまは最低でも、イントラレーシックを導入しているクリニックであることが条件でしょう。
どうしてもわからない場合は、近所の眼科で聞くこともひとつです。
「視力回復の研究ノート」でも、レーシックの眼科をご紹介しています。
よければ参考にしてください。慎重に検討して決めることがたいせつです。
レーシック手術の不適応条件
レーシック手術は、だれでも受けられるわけではありません。
いくつかの、不適応とされる条件があります。
- 年齢が18歳未満
- 目の病気や全身病がある
- 強度の近視
- 角膜がうすい
- 妊娠中や授乳中
- ピルや抗うつ剤を服用している
施設によっては、20歳未満を不適応としているところもあります。
まだ不安定なため、視力回復しても、また下がる可能性があるからです。
目の病気では、角膜炎やドライアイなどの、目の表面の疾患。
そのほか、白内障、緑内障、網膜の病気などがあると不適応になります。
レーシック手術前の検査
レーシック手術の前には、精密な適性検査を受けるようになっています。
これを行なわないクリニックでは、合併症や後遺症の危険があります。
適性検査で、重大な眼病が見つかれば、レーシック手術はうけられません。適性検査のデータは、手術のさいの貴重なデータに。
エキシマレーザーでけずる角膜の量も、この検査データを参考にします。
適応検査を無事、通過したら、手術前はコンタクトレンズの装用ができなくなります。角膜が圧迫されて変形するため。
こうなってしまっては、正確な手術ができないのです。
強度の近視の人は、コンタクトレンズにかわるメガネを、もっていたほうがいいでしょう。
レーシック手術の必要性を考える
あなたには、ほんとうにレーシック手術が必要なのでしょうか?
再検討してみましょう。どうしても手術を行ないたい場合、軽い近視をのこすという考えかたもあります。
近視の人は、メガネをはずせば、手元がよく見えることがあります。
むしろ軽い近視があったほうが、デスクワークには適しています。
そのため、デスクワークが多い人は、ほんとうにレーシックが必要なのかを考えるべきです。
また、40歳をすぎている人は、老眼を視野にいれなければいけません。
老眼の人が、近視を矯正するレーシック手術をうけると、遠くはよく見えるようになります。そのかわり、いままでよく見えていた近くのものが、ぼやけるように。レーシック手術をうけたことによって、老眼鏡が必要になるのです。
40歳手前の人は、じきに老眼がはじまります。
いまは一時的に視力回復に成功しても、まもなく老眼がはじまれば、近くが見づらくなります。そのときは、本来手にしなくてもいい老眼鏡が必要に。
ただし、レーシックで完全に矯正しなければ、老眼鏡をかけなくてすみます。つまり、わざと軽い近視をのこすように、手術してもらうのです。
レーシック手術の方法
視力回復手術であるレーシックは、どのように行なわれるのでしょうか?
現在は、イントラレーシックが主流になっています。
これはイントラレース・フェムトセカンドレーザーをつかって、フラップを作成する手術法。しかしここでは、「ケラトーム・レーシック」について解説します。
フラップの作成法だけを置きかえて、考えていただければと思います。
ケラトームレーシックでは、まず点眼麻酔を行ないます。
これによって手術中、目に痛みを感じることはありません。

まず、マイクロケラトームという器具を使用して、角膜に弁状のフタ(フラップ)をつくります。
このフラップは、完全に切りはなされずに、一部がつながっています。
このフラップをあけてから、角膜実質部分にエキシマレーザーを照射。
角膜実質層の一部をけずり、角膜の屈折力を弱めます。こうすることによって、近視が視力回復するのです。
遠視の場合は、角膜全体の凸が強くなるように、角膜周辺部をけずります。
レーシック手術後の注意点
レーシック手術をうけたあとには、守るべき、いくつかの注意点があります。
クリニックで指導してくれるので、かならず守ることがたいせつ。
レーシック手術のあとの注意点として、入浴と運動の制限があります。
入浴すると、目に水が入る危険があるため。手術後しばらくは、ひかえなければなりません。激しい運動は、1ヶ月間行なってはいけません。
すべて目を順調に回復させ、炎症などを起こさせないために大切です。
レーシック手術の翌日は、かならず診察をうけるようになっています。
そのため遠くから来ている場合は、ホテルの予約が必要。
そのあとも1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヶ月後、1年後に診察をうけます。
レーシック手術では、フラップの下に炎症などがおきる場合があります。
不具合を放置していると、重大な眼病に発展する危険が。
診察によって早期発見すれば、すみやかに治すことができるのです。
レーシック手術と後遺症
レーシック手術後には、後遺症、合併症が起きることがあります。
起きる可能性のある症状としては、以下のようなものがあります。
- 霧がかかったように、ぼやけて見える
- 夜間視力の低下
- ドライアイ
- 矯正不足と過矯正
- 屈折の戻り
こういったレーシック術後の症状は、かならず起きるわけではありません。
起きたとしても、時間の経過とともに快方にむかっていきます。
ただし、まれに症状がのこる人もいます。
これ以外に、まれに起こる症状として、感染症や、フラップがずれる合併症などがあります。乱視が出現することも。
ただし上記のような合併症は、従来のマイクロケラトームという器械によって、フラップを作成した場合。イントラレースというレーザーによってフラップを作成する「イントラレーシック」では、起こりづらくなっています。
とはいえ油断はできません。
眼科専門医が行なったレーシック手術では、今までに失明したという例は、ひとつもありません。
レーシック手術の最新機器
レーシック手術には、次々と最新機器が導入され、進化をつづけています。
代表的な新技術には、以下のようなものがあります。
- ウェーブフロント ・・・ 波面収差を取る検査技術
- アイトラッキング・システム ・・・ 瞳孔(どうこう)の動きを追う
- トーション・エラー・ディテクション ・・・ 虹彩(こうさい)の模様を検知する
ウェーブフロント・レーシックは、「カスタム・レーシック」ともいいます。
収差をとるため、よりクリアな視界がえられます。オーダーメイドの手術。
アイトラッキング・システムは、手術中に患者さんの目が動いても、エキシマレーザーがそのあとを追っていきます。
このため、照射の位置がずれにくくなります。乱視を防止します。

トーション・エラー・ディテクションは、黒目である虹彩(こうさい)の模様を検知します。
これによって、エキシマレーザーの照射角度を自動調整するのです。
人間はあお向けに寝ると、虹彩が回旋(回転)をおこします。
そのため、あお向けで行なう手術では、座って行なう検査時とくらべて、虹彩の位置がずれてしまうのです。
現在はイントラレーシックに、上記のような最新技術を加えた「アイレーシック(iLASIK)」が登場。
さらに、アイレーシックの上を行く「Zレーシック」も登場しています。
Zレーシックではフラップを、より精密に作成することができます。
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