エピレーシック手術
エピレーシック手術とは

エピレーシック手術とは、角膜上皮層のみでフラップ(ふた)を作成する、視力回復手術です。
フラップの作成には「エピケラトーム」という、カンナのような専用の器具を使用します。
従来のレーシックでは、「マイクロケラトーム」という器具を使って、フラップを作成していました。この手術法を「ケラトーム・レーシック」といいます。

従来の方法でつくるフラップは、角膜上皮層と、実質層の一部をふくむものでした。そのため、けずりとれる実質部分が少ないという欠点があったのです。
エピレーシックは、このケラトーム・レーシックの欠点を、おぎなうために開発されました。エピレーシックでは、角膜上皮層のみのフラップを作成。
そのため、けずり取れる角膜実質層を、より多くすることができます。
また、けずったあとにのこる実質層も多くなります。
エピレーシックは、理論上、最高のレーシック手術といわれています。
エピレーシック手術のメリット
エピレーシック手術のメリットは、前述したように角膜上皮層だけの、うすいフラップを作成できるということです。
このことから、多くのメリットがうまれます。
- エキシマレーザーの照射後にのこる、角膜の量が多くなる。
従来型よりも、手術後の角膜の強度が高くなる。 - このため、目に衝撃をうける可能性のある、格闘技の選手にむいている。これはPRK手術や、ラセック手術でも同様。
- 角膜実質層を、最大限、有効活用することができる。
- 従来型では矯正できないような、強度の近視にも対応することが可能。
- 角膜の厚みがうすい人でも、手術を行なうことができる。
- エピレーシックで作成した、角膜上皮層だけの不安定なフラップは、じきにはがれおちる。そのかわり新しい上皮層が、目の表面に再生。
- このため従来型のように、目をぶつけて、フラップがずれることがない。
この点でも、エピレーシックは格闘技の選手にむいている。 - 手術後に、ドライアイの症状がでない。
これはフラップ作成時に、角膜実質層を切断しないため。
従来型では、角膜の神経を切断する。このため涙が出なくなる。
エピレーシック手術のデメリット
- 手術後、やや痛みがある。
- 手術後、すぐに視力がでない。視力回復まで時間がかかる。
- 手術後、視野が欠けることがある。
エピレーシック手術のデメリットは、手術後、やや痛みがあるということ。
この点はPRK手術や、ラセック手術と同様です。
これにたいして、ケラトーム・レーシックの場合、ほとんど痛みはありません。イントラレーシックも同様に痛みません。
エピレーシックでは、角膜上皮だけのフラップを、もとの位置にもどします。
しかし、従来型でつくるフラップのように、厚く丈夫ではありません。
そのため、角膜は「でこぼこ」の状態に。光学的に不安定になります。
エピレーシック手術では、視力が回復するまで、少々、時間がかかります。
この点、従来型やイントラレーシックは、手術後すぐに視力が回復。
エピレーシック手術では、フラップ作成時に、エピケラトームという器具を眼球に吸着させます。そのさい眼圧が上昇して、網膜に負担がかかります。
そのため、視神経の一部が死滅してしまう危険が。手術後、視野が欠けることがあるのです。これは、ケラトーム・レーシックでも同様。
エピレーシック手術の実際
エピレーシック手術は、ケラトーム・レーシックと、それほどかわりません。
フラップの作成のしかたと、手術後、治療用コンタクトレンズが必要かどうか、という違いがある程度です。
@ まず、点眼麻酔をします。これで、手術中に痛みはありません。
A エピケラトームを使用して、角膜上皮層だけのフラップを作成します。

B ボーマン膜の上から、エキシマレーザーを照射します。

C 角膜実質層の一部を、平らにけずります。
これにより角膜全体の屈折力を弱め、近視を矯正。

D 角膜上皮層のみのフラップを、もとの位置にもどします。
のこった角膜実質の量は、ケラトーム・レーシックよりも多くなります。

E 手術後は、よく見えません。
角膜を保護するために、治療用のコンタクトレンズを装用します。
F 両目同時に手術はできません。
1週間ほどしてから、もう片ほうの目の手術を行ないます。
これはPRK手術や、ラセック手術でも同様。従来型の場合は、一度で両目の手術が可能。
当サイトでは、文章・画像のコピー、およびリライトは許可していません。
無断転載は「著作権侵害」にあたり、「10年以下の懲役、1000万円以下の罰金」が法律で定められています。