ビタミンAと目
ビタミンAとは
ビタミンAは、脂溶性のビタミンです。
体全体の上皮組織、粘膜を保護するはたらきがあります。
目の場合、ビタミンAは、目の粘膜である「角膜」と「結膜」を保護します。
粘膜である「結膜」は、目の表面を乾燥から守るために、粘液を分泌します。これが涙の土台になります。

ところがビタミンAが不足すると、粘膜である「結膜」が荒れます。
そうなると、涙の土台となる粘液も分泌されにくくなります。その結果、目に涙がのらなくなり、角膜や結膜が乾燥することに。
これがドライアイ、角膜炎、結膜炎を引き起こします。
そのほかビタミンAは、目の網膜の新陳代謝を高めてくれます。
そのため、網膜の病気の予防になると考えられます。
ビタミンAは、目の網膜にある視物質「ロドプシン」の素材です。
ロドプシンは、うす暗いところではたらく細胞。そのためビタミンAには、暗い場所に徐々に目が慣れていく「暗順応」を高めるはたらきもあります。
ビタミンAと摂取
ビタミンAは脂溶性のため、摂取には注意が必要です。
ビタミンAは、「レチノール」と「ベータカロチン」にわけられます。
ベータカロチンは体内で、一部がビタミンAに変換されます。残ったベータカロテンは「抗酸化物質」として、目の組織を酸化から守ってくれます。
レチノールは、過剰にとると副作用があるので注意しましょう。
たとえば妊娠初期にとると、奇形児が生まれる可能性があります。
この場合はベータカロチンの形で、緑黄色野菜から摂取すれば安心。
ほんとうに必要なぶんだけが、ビタミンAに変換されるからです。
ビタミンAと目の粘膜
ビタミンAには、全身の上皮組織の新陳代謝をうながして、粘膜を保護するはたらきがあります。
目における粘膜は、「角膜」と「結膜」。
ビタミンAは、目の角膜と結膜にうるおいをあたえ、乾燥から守ってくれます。
結膜からは、涙の一部である「ムチン層」という粘液が分泌されています。
ビタミンAの摂取は、ムチン層の分泌を活発にし、涙の質をよくしてくれます。そのためビタミンAは、目がかわく「ドライアイ」の予防と改善に、効果を期待できます。
ビタミンAは、そのほかに、髪や肌を美しく保ってくれます。
また、「口の中、食道、気管支、肺、胃腸、膀胱、子宮」といった”空洞の場所”でも、粘膜を保護してくれます。
ビタミンAと目の暗順応
ビタミンAは、目の暗順応の機能を高めます。
暗順応とは、目がだんだん暗闇になれていくこと。
目の網膜には、うす暗がりのなかで明暗を感知する視細胞が、片目で1億個以上、はりめぐらされています。これを「捍体(かんたい)細胞」といいます。
そのひとつひとつに、「ロドプシン」という視物質がそなわっています。
薄暗がりのなかで、わずかな光がロドプシンに当たると、ロドプシンが分解。
これが電気信号となり、脳まで伝わって、「見えた」と感じるのです。
ロドプシンは分解すると、つぎの光の反応にそなえて再合成します。
ロドプシンをつくっている素材が、ビタミンAです。
ビタミンAが不足すると、ロドプシンが少なくなります。そうなると薄暗がりのなかで、わずかな光に反応できず、夜盲症に。
ブルーベリーなどに含まれている、ポリフェノールの一種「アントシアニン」は、分解されたロドプシンの再合成化を促進します。
そのため、ビタミンAとアントシアニンをいっしょにとると、さらに目の暗順応の機能を高めることができます。
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