ビタミンB1の摂取
ビタミンB1の摂取は、糖質の代謝をうながします。
そのため、眼精疲労をやわらげる効果が期待できます。
そのほかビタミンB1には、視神経の伝達をスムーズにする働きもあります。
ビタミンB1の摂取と、糖質の代謝
ビタミンB1は、糖質の分解を助ける補酵素です。
「精神のビタミン」といわれ、別名を「サイアミン」といいます。
日本人は、白米を主食にしています。
そのためエネルギーの多くを、糖質から補給しています。それにもかかわらず、日本人は、糖質を分解するビタミンB1が不足しがちです。
結果的にエネルギー不足に。疲れやすい人が多くなります。
甘いものをよく食べる人は、ただでさえ体内に少ないビタミンB1を、すぐに消費してしまうことになります。そのため目のなかのビタミンB1が、極端に不足することに。目の中が、エネルギー不足になるわけです。
エネルギー不足になると、疲れ目や眼精疲労をおこしやすくなります。
こういった栄養事情が、近視をまねくのかもしれません。
ビタミンB1の摂取と神経
脳や神経にとって、唯一の栄養源は「糖質」です。
ビタミンB1の摂取が不足して、糖質の代謝がうまくいかなくなると、神経の伝達もうまくいかなくなります。イライラしたり、怒りっぽくなるのです。
目の場合でも、ビタミンB1の摂取が不足すると、電気信号の伝達に必要なエネルギーが生み出せなくなります。
そうなると、たとえ網膜に鮮明な映像がうつっていても、脳に視覚情報がうまく伝わらない、ということが起こる可能性があります。
かつては、ビタミンB1が不足すると、「脚気(かっけ)弱視」という症状が、よくおこりました。弱視とは、目には異常がないのに、脳が認識しようとしないために視力が低下している状態。
食糧事情がよくなった今では、脚気弱視は、あまりないかもしれません。
しかし、ビタミンB1の摂取が不足すると、目から脳への神経伝達に異常がおこります。それが視力低下をまねく危険は、依然として存在しています。
ビタミンB1の摂取と疲労回復
ビタミンB1を摂取すると、糖質がきちんと代謝されるようになり、全身の細胞に充分なエネルギーが行きわたります。
そのため、筋肉の疲労回復に効果があります。

筋肉の疲労回復効果は、目にもあてはまります。
目には三つの筋肉があります。
光の量を調節する「虹彩筋」、遠近調節を行なう「毛様体筋」、眼球を動かす「外眼筋」です。
ビタミンB1の摂取は、こういった目の筋肉の疲労をとりのぞきます。
その結果、眼精疲労をやわらげる効果が期待できます。
仮性近視が、毛様体筋や外眼筋の疲労から来るとすれば、ビタミンB1の摂取が、視力回復の力になるかもしれません。
ビタミンB1は、腸内細菌によって体内でつくられます。
しかし日本人は、ビタミンB1の摂取が不足しがちなので、食べ物からも摂ったほうがいいでしょう。つかれやすい人は、とくに多めにとるべきです。
ビタミンB1は、豆類、ナッツ類、胚芽米、豚肉などにふくまれています。
サプリメントを利用することも、ひとつの方法です。
ビタミンB1と糖尿病
前述したように、ビタミンB1の摂取には、糖質の代謝を助けるはたらきがあります。そのため、糖尿病の人に有効な成分といえます。
糖尿病は、インスリンがうまくはたらかないか、分泌量が少なくなるために起きる病気です。インスリンとは、糖質(ぶどう糖)をエネルギーに転換するために、全身の細胞に送りとどけるホルモン。
そのため、インスリンに異常がおきる糖尿病になると、行き場をうしなった「ぶどう糖」が、血液中にあふれかえることに。
こうした高血糖の状態は、血液を粘着性のあるものに変え、流れをとどこおらせます。そうなると、血液中の脂肪と結合。血管を細くもろいものにしてしまうのです。
目の網膜は、細い毛細血管の集まりです。
網膜は、こういった高血糖の影響を、まっさきに受けやすい場所といえます。高血糖が原因となって、眼底出血をおこす眼病が「糖尿病網膜症」。
現在、糖尿病の人は、糖尿病の合併症である「糖尿病網膜症」をふせぐことがたいせつ。そのためには医師の指導のもと、血糖コントロールを行なうことです。
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