オルソケラトロジーのデメリット
オルソケラトロジーは、裸眼で快適に見ることができる、画期的な治療法です。
しかし、オルソケラトロジーのデメリットも、知っておくことがたいせつです。
- <オルソケラトロジーのデメリット>
- 強度の近視は矯正できない
- ドライアイ・角膜炎・結膜炎は不適応
- 毎晩、装用する必要がある
- 角膜炎や結膜炎の危険がある
- 治療費が高い
- 紫外線の害をうけやすくなる
以下、順に解説していきます。
強度の近視は矯正できない
オルソケラトロジーの治療では、強度の近視を矯正することはできません。
効果があるのは、軽度から中程度の近視。
強度の近視だけではなく、強度の乱視も矯正できません。
しかし、オルソケラトロジーの進化形であるオサートなら、0.01というような最強度の近視でも、1.5まで回復させることが可能です。
またオサートなら、強度の乱視も矯正できます。
ドライアイ・角膜炎・結膜炎は不適応
オルソケラトロジーは、「目の表面」に疾患がある場合、不適応になります。
ドライアイや角膜炎、アレルギー性結膜炎などです。
また、角膜がとがる「円錐角膜」の場合も、コンタクトレンズを装用できないため、適しません。
これは、オルソケラトロジーの治療にかぎったことではありません。
通常のコンタクトレンズでも同様。コンタクトレンズは、目に異物を入れる行為だからです。
角膜炎や結膜炎になると、目の表面が荒れることになります。
そうすると、3層構造になっている涙の土台成分「ムチン層」が、目の表面に定着しません。”粘膜”である結膜から分泌される”粘液”が、ムチン層。
ムチン層の分泌が悪くなると、涙全体が流れ落ちて、乾燥しがちになります。

コンタクトレンズを装用する場合は、角膜とレンズにあいだに、潤滑油としての涙が、つねに存在する必要があるのです。
目の表面の健康が損なわれている場合、まず、その病気を治すことが先決。
ただし、進化形である「オサート」なら、角膜炎や結膜炎の場合でも矯正できます。レンズの素材を変更することによって、対応できるのです。
角膜がとがる「円錐角膜」の場合も、視力回復が可能になっています。
毎晩、装用する必要がある
オルソケラトロジーでは、基本的に毎晩、レンズを装用する必要があります。
オルソKレンズの装用を中止すると、軽い近視の場合、2〜3日で角膜がもとの形に。強度の近視の場合は、1日程度でもどってしまいます。
このため、夜遊びや徹夜が多い人には、オルソケラトロジーは適しません。
また不眠症などの睡眠障害がある人、極端に睡眠時間が少ない人も、充分な時間の矯正ができません。
そのほか寝相がわるいと、レンズがずれることがあります。
こうなると、角膜が正しく矯正されません。オルソケラトロジーの治療では、基本的に、仰向けで寝る必要があります。これは、枕が目を圧迫しないようにするため。
レーシックでは、いったん矯正すれば、こういったわずらわしさはありません。
結局、コンタクトレンズを起きているときに装用するのか、睡眠中に装用するのかの違いだけです。
ふつうのコンタクトレンズと、それほど変わらないという見かたもできます。
角膜炎や結膜炎の危険がある
オルソケラトロジーのレンズを、指示通り装用しなかった場合、角膜の表面を傷つける可能性があります。「角膜炎」になる危険があるのです。
また、よく手を洗わず、きたない手でコンタクトレンズの付けはずしを行なうと、「ウィルス性結膜炎」になる可能性があります。
ウィルス性結膜炎は感染性の病気。
人に移っていくため要注意です。入院を必要とすることもあります。
これは、オルソKレンズにかぎったことではありません。
コンタクトレンズの装用全般にいえることです。
治療費が高い
オルソケラトロジーの治療費は、かなり高くなっています。
日本の厚生労働省は、まだオルソケラトロジーを認可していません。
そのため、保険が適用されないのです。これはレーシック手術でも同様。
たとえば、「三井メディカルクリニック」の場合で、見てみましょう。
三井メディカルクリニックは、日本におけるオルソケラトロジーのパイオニア。このクリニックでは、従来型のオルソケラトロジーの場合、両目で24万円(税別)となっています。
オルソケラトロジーの進化形である「オサート」は、両目で38万円(税別)。
もちろん、この値段をどう感じるかは、人それぞれです。
そのほか、紛失した場合の「スペアレンズ」が必要になります。
このスペアレンズが、両目で30万円。
段階を追ってステップアップしていく”オサート”の場合、「ステップアップ・レンズ」は、両目で70万円かかります。
この場合、スペアレンズは必要ありません。紛失したときは支給されます。
レンズには耐用年数があります。
そのためレンズは、3年程度で新しく作りかえる必要があります。
そうした費用も、このステップアップ・レンズの70万円にふくまれています。
そのほかの、オルソケラトロジーのデメリット
今までメガネやコンタクトレンズを装用していた人が、オルソケラトロジーの治療をはじめた場合は要注意。
メガネやコンタクトレンズには、紫外線をふせぐ働きがあります。
そのため、知らずうちに紫外線から目が守られています。オルソケラトロジーに切りかえると、いままで以上に、紫外線が目のなかに入ってくることに。そうなると将来、白内障にかかるリスクが高まります。
オルソケラトロジーの治療によって、「近視が治った」と思うのは錯覚。
近視の人の目は、眼軸(角膜から網膜までの距離)が長くなっています。そのため網膜が引き伸ばされており、弱くなっています。
正常な目よりも、網膜がやぶれる「網膜はく離」などの眼病に、かかる可能性があるのです。
いったん眼病にかかると、近視以外の原因によって、視力が低下。
こうなると、オルソケラトロジーで矯正しても、視力回復できなくなります。オルソケラトロジーで視力回復しても、目の内部は近眼のまま。
いぜんとして危険な状態にあるということを、忘れてはいけないのです。
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