遠方凝視訓練
「遠方凝視訓練」とは?
「遠方凝視訓練」とは、2種類ある「毛様体筋のトレーニング」のうちの1つで、その名のとおり、”遠くを見るトレーニング”です。これは、多くの視力回復センターで採用されている考えかたであり、主流の方法です。

いつも遠くを見ている環境にいる人は、しぜんと「遠くがよく見えるようになる」
ものです。たとえばアフリカには、「視力4.0」という人が存在します。
なぜ、これほどの視力を発揮できるのかというと、たんに水晶体というレンズを薄くできるだけではなく、「網膜の感度」も研ぎすまされているからと考えられます。網膜の黄斑部にある細胞が活性化されているわけです。さらにいえば、脳の視覚野が活性化されている、ということもあるでしょう。
「目は脳の一部」といわれます。
目と脳のそれぞれが、最大限にその能力を発揮し、最大限にその連携を強めれば、視力4.0といった「離れ業」も可能になる、ということです。「視力4.0」という数値は、まさに、”人間のもつ無限の可能性”の一端を示しています。
「遠方凝視訓練」のやり方
「遠方凝視訓練」は、何もむずかしいことはありません。
遠くの一点を、ただ、「見よう」という意識をもって見つめるだけです。
両目で、たとえば、部屋の壁にかかっている「カレンダーの1文字」を見ます。外の景色なら、遠くの「電柱の一部」や「建物の窓」などを見ます。「夜空の星」を見つづける方法も、よく知られています。
このとき、ほかのことを考えていては効果がありません。
ただ「網膜」に映像がうつっているだけでは、トレーニングにはならないのです。「脳」をしっかりと働かせてこそ、このトレーニングの意味があります。
「見ようという意識」とは、いいかえると、確実にその一点に、「焦点を合わせる」ということ。

このとき、「少しぼやけて見えるもの」を、なんとか読み取ろうという意識で
「凝視」します。
これによって、毛様体筋という筋肉を限りなくゆるめ、水晶体というレンズを、
できるだけ薄くしようと試みるわけです。この訓練によって、「遠くを見たとき」に、今よりも水晶体を薄くできるようになれば、そのぶんだけ視力は向上します。
なお1回に凝視する時間は、10秒〜20秒程度がよいでしょう。
そのあと10秒ほど目を休め、また再開します。これを3〜5セット行ないます。なおセット間の休憩のときは、ただぼんやり休むのではなく、「強いまばたき」を数回行なうと、目の疲れを一瞬にして取ることができます。
また、より多くトレーニングしたい場合は、「凝視しつづける時間」を伸ばすよりも、ひんぱんに休憩を入れて、”セット数を多くする”ほうが効果的です。
そして、「凝視する時間」は、”長くても20秒まで”にとどめます。
あまりに長時間、凝視しすぎると、目の疲労のもとになりますし、気分的に滅入ってしまい、長続きしない可能性があるからです。無理は禁物です。
「遠方凝視訓練」の注意点
このトレーニングの注意点は、”まばたきを忘れない”ということ。
まばたきをしないと、逆効果になります。
「凝視」というと、「まばたきをしないで見つめること」というイメージがありますが、これは、このトレーニングにおいては「間違い」です。「遠方凝視法」という名前で広く知られているために、この名前をつかっているにすぎません。
ほかの注意点としては、遠くを見つめるとき、あまりにぼやけていると、その効果がうすれます。なぜなら、ぼやけすぎていると、”よく見ようという意識がはたらかない”ため、「脳があきらめてしまう」からです。
「少しぼやけていて、もう少しで見えそうなもの」を目標にします。そのほうがモチベーションも持続します。
「手のとどくところに目標を設定する」・・・これは、「やる気」を失わないための、”モチベーションを保つ方法”として知られています。
目が悪すぎて、”遠くのものが、まったく見えない場合”は、メガネやコンタクトレンズを装用して行なってもよいでしょう。
「片目」で行なう”注意点”と”絶大な効果”
「遠方凝視訓練」は、両目で行なう以外に、「片目ずつ」行なう方法もあります。人間には、利き目があります。両目で見ているつもりでも、「利き目だけ」で見ている場合があります。「がちゃ目(不同視)」では、なおさらです。
「がちゃ目」の状態だと、両目を使って遠方凝視訓練を行なっているつもりでも、じつは片目だけでトレーニングしていることに。そうすると、”利き目のほうだけが発達してしまう”可能性があります。「左右の視力差が、さらに大きくなってしまう」危険があるわけです。
こういう危険がある場合は、「片目ずつ」の遠方凝視訓練を行なったほうがよいわけです。あるいは、あえて「低い視力のほうの目だけ」を訓練して、両方の目の視力がそろってから、両方の目の訓練を開始する、という方法もオススメです。
ただ、この「片目だけで行なう方法」は、「がちゃ目」以外の場合でも有効です。その理由は、誰にでも「利き目」があるということもそうですし、両方のそれぞれの目に、「確実に効かす」ことができるからです。
なんでもそうですが、「責任の分散」がおこってしまうと、それぞれの「責任感」がうすれてしまうものです。これは「目」にも当てはまります。
片目ずつトレーニングすることで、それぞれの目にある「毛様体筋」と「網膜(黄斑部)」がもつ力を、最大限に引き出します。そのため、訓練が終わったあと、「両目」になって遠くを見たときに、”かなりの視力回復効果”を実感できます。それが、また、次回のトレーニングのモチベーションになるのです。
「片目」での遠方凝視訓練のやり方
「片目での遠方凝視訓練」のやり方は、かんたんです。
見る対象は、「両目のトレーニング」のときと同じ要領です。部屋の壁にかかっている「カレンダーの1文字」でもいいですし、もしも「視力検査表」があれば、それを使用すると「訓練しやすい」ので便利です。
見る目標が決まったら、適当な距離をおいて立ちます。そして、「視力検査の要領」で、片ほうの手のひらで、片目をかくします。
このとき、手のひらで片目をかくしても、その目は閉じないようにします。
つまり、「両目をあけたまま訓練する」ということ。その理由は、片目を閉じると、不要に目を緊張させてしまうため。できるだけリラックスした状態で訓練するために、両目はあけておきます。
この「片目をおおう」という動作は、じつは、「パーミング」という方法の応用です。これによって、片方の目を訓練しているときに、もう片方の目の血液循環がよくなり、疲れがとれる、という効果ものぞめるわけです。
ただ、本来の「パーミング」の場合、両目は閉じますが、この片目トレーニングの場合は、「両目とも、あけておく」という点が異なります。
さて片目になって、たとえば視力検査表を見たときに、「Cの形(ランドルト環)」の切れ目を、「何としても見よう!」という意識をもって凝視します。”見えそうで見えない「C」の部分”を、10秒〜20秒程度、見つづけます。
この片目の訓練は、左右を1セットとして、3〜4セット行なえばよいでしょう。
この場合も、目を緊張させないために、”まばたき”を忘れないようにします。メガネをかけて行なう場合は、「パーミング」はできなくなりますが、レンズに手が触れないようにして、レンズの上から手でおおいます。
* なお、「目の血行をよくする方法」を、準備運動や整理運動として、「遠方凝視訓練」の前後に取り入れると、その効果が、さらに倍増します。「目の血行をよくする方法」はたくさんありますが、そのなかのどれか1つ、あるいは複数をえらんで組み合わせてみましょう。先ほどの「パーミング」も、1つのアイデアです。
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