腕振り運動
- <目次>
- 「腕振り運動」とは?
- 「腕振り運動」のやり方
- 「腕振り運動」の注意点とは?
- 「腕振り運動」のコツ
- 腕振り運動を「正しく」行なえていると・・
- 腕振り運動の、そのほかの注意点
- 寝ているときも「視力トレーニング」?
「腕振り運動」とは?
「腕振り運動」とは、ベイツ博士の流れをくむ「ハロルド・ペパード博士」が考案した「五大基礎訓練」のうちのひとつです。そして、そのなかでもメインとなる視力回復トレーニングになります。「ロングスイング」や「身体回転」ともよばれています。
「腕振り運動」は、ベイツメソッドの一種で、「外眼筋の緊張をとくトレーニング」の一環として行ないます。
腕振り運動は、ウォーキングのように単調な動きのため、なれてしまえば、長時間行なっても、まったく苦になりません。
「外眼筋の緊張をとく効果」に、とくにすぐれ、運動開始後、すぐにでも外眼筋のうちの「2本の斜筋」が、ジワーッと気持ちよく、ゆるんでくる実感があります。そのほか、リラックス効果や整体効果、整腸効果も期待できる、やっていて楽しい運動です。
ぜひ、視力回復や目の健康のため、毎日の生活のなかに気軽に取り入れていってください。
「腕振り運動」のやり方
まずは、足を15センチほどひらいて、ゆったりと立ちます。このとき、両方の足先は、平行ではなく、親指3つぶんくらい”やや”外側をむくようにします。
このほうが、腰を大きく回転させやすいからです。

そして、大きく1回深呼吸したのち、目の力を抜くように意識しながら、左右交互に、遠心力を利用して、しぜんに腰をひねります。腕や肩は力まずに、
リラックスさせるようにします。腰は、左右90度ずつ、あわせて180度くらいまで回転させます。
腰を左右に振ると、遠心力で、両方の腕が20〜40度くらいの高さまで、ふわーっと持ち上がります。そして、腰を回転させきったときに、両方の腕が、おなかのあたりやお尻に「巻きつくような感じ」になれば、正しく行なえています。片方の手は、お尻に、軽快にポン、ポンと当たる感じです。
さて、「腕ふり運動」の回転時のポイントは、足の「かかと」にあります。
左右どちらでもそうですが、回転させきったときに、反対の足の「かかと」を
”やや上げる”ようにします。こうすると、腰を最大限まで回転できるからです。
そうかといって、180度以上、腰を極端に回転させる必要はありません。
180度以上回転させてしまうと、この運動自体の難易度が上がってしまいます。また勢いが、つきすぎてしまい、「ゆったりとした動き」にならなくなります。
あくまでも、この「腕振り運動」の目的は、「外眼筋の緊張をとく」ことにあります。目をリラックスさせるために行なう運動なのです。
ですから、後ろを振り向くほど、極端に腰を回転させる必要はないわけです。
「腕振り運動」の注意点とは?
”外眼筋の緊張をとく”という目的をもつ、この「腕振り運動」において、もっとも大切なポイントは、「目の使い方」です。
この「腕振り運動」のあいだは、一貫して「目をリラックスした状態」にたもつ必要があります。そのためには、「目のやり場」という問題が、非常に重要になってきます。
具体的には、「回転のさいに目に入ってくる光景を、意識しないようにする」ことが大切になります。いいかえると、”特定のものに焦点を合わせない”ということ。
高速で回転しているときに、”特定のものに焦点を合わせようとする”と、
どちらかというと「外眼筋をきたえるトレーニング」のニュアンスをおびてきます。つまり、外眼筋の「筋肉トレーニング」になってしまうのです。
この「腕振り運動」の目的は、外眼筋を強化することではなく、あくまでも「外眼筋の緊張をとくこと」にあります。そのため、回転中に、何か特定のものを目で追っても、「動体視力」や「瞬間視」といった能力が発達するだけで、視力回復のトレーニングにはならないわけです。
「腕振り運動」のコツ
さて前述したように、はじめは、どこを見たらいいのかわからず、「目のやり場」に困るかもしれません。
コツとしては、流れるようにして目に入ってくる光景は、「流れるまま」にしておく、ということ。「目に入るまま」にさせておきます。キーワードは、「そのまま」です。この目の状態を、運動中に一貫してたもつことが、「外眼筋の緊張をといていく」ことにつながっていきます。
このとき、じつは、準備運動である「目のリラックス法」が大変、役に立ちます。さいごに目をゆっくり開けたときの、あの「リラックスした目の状態」を、そのまま再現すればよいからです。
「腕振り運動」の最中は、もしかしたら、まっすぐ前を見るよりも、やや視線を落としぎみにしたほうが、やりやすいかもしれません。あたかも、眠いときに、少しまぶたが下がってくるような感じです。
しかし、人によって差があるので、あなたが一番リラックスできると思う「目の高さ」をみつけて行ないましょう。
さて、腕振り運動は、だいたい1分間に16回くらいのペースで行なうのがよいと、ペパード博士は言っています。ということは、”1往復で4秒程度”になります。半回転で2秒です。
なれないうちは、心のなかで「い〜ち」「に〜い」などとカウントしながら行なうと、リズムがつかめてきます。そして、ただ漫然と行なうよりも、「100回だけやろう」などと、数を設定して行なうと、達成感も味わえるのでオススメです。
腕振り運動を「正しく」行なえていると・・
腕振り運動(ロングスイング)を正しく行なうと、外眼筋のうち、上下の斜筋のあたりが、じんわりと、ゆるんでくる感じがします。これは目の外側(耳側)にあたります。下のイラストは「左目」なので、「斜筋」が目の外側(耳側)に位置するというのは、わかるかと思います。

その反対に、腕振り運動で回転するとき、先ほども少し触れたように、まわりの風景にこだわって見てしまうと、”目の奥が痛くなってくる”ことがあります。ちょうど、外眼筋の根元にある「総腱輪」のあたりです。この部分が、キューッと緊張したような感覚になるのです。
こうなってしまうと、もう外眼筋の緊張をゆるめることはむずかしくなるので、
しばらく休んでから、また行なうようにします。
腕振り運動の、そのほかの注意点
そのほかの注意点としては、”強い緊張があった「直後」には、腕振り運動は行なわないほうがよい”ということです。強い緊張は、もちろん、心身両面にわたります。たとえば、直前に、なにか深い悩み事に直面したとか、あるいは、筋トレをやって肉体が疲労している、などです。
こういったときに、どうしても行ないたいときは、しばらく「目のリラックス法」を行なって、目をリラックスさせてからにします。しかし実際は、数時間休んでからにするなど、できるだけ落ち着いてからにしたほうがよいでしょう。
こういった「交感神経」が過剰に優位になっているような状況で、「腕振り運動」を行なってしまうと、なかなか体はリラックスできないものです。ということは、体の一部である「外眼筋」も、平常時ほどはリラックスできないわけです。
無理して行なってしまうと、先ほども少し触れたように、”総腱輪のあたりが硬直して痛くなってくる”という現象がおきます。こうなると、もう、しばらくは外眼筋の緊張をゆるめようと努力しても、目の根元がキューッと緊張するいっぽうになるだけです。その日は目を休めたほうがいいかもしれません。
寝ているときも「視力トレーニング」?
なお、ペパード博士によると、寝るまえに「腕振り運動」を行なうと、眠りやすくなる効果があるようです。たしかに、寝るまえの適度な運動は、「深い眠り」をもたらしますし、とうぜん目の疲労回復にもよいわけです。
しかし実際には、”往復100回程度”にとどめておいたほうが無難です。
寝る前に「腕ふり運動」を何十分も行なっていると、たしかに「斜筋」のあたりが、かなりゆるんでくる実感があります。
でもこうなってしまうと、布団に入っても、「外眼筋のジワーッとした感じ」が気になってしまい、かえって寝付けなくなる場合も。
そこで、寝る前に運動を行なう場合は、”往復100回程度”にとどめるのがいいわけです。
この程度なら、適度に斜筋がゆるむだけなので、気になりません。
そのうえ、寝ている最中にも目がリラックスでき、あたかも「睡眠中に、ずっと視力回復トレーニングをしている」かのような効果をのぞめるのです。
以上、「腕振り運動」のやり方や注意点について解説してきました。
注意点をしっかり守って正しく行なえば、「外眼筋の緊張をとく効果」を実感できる運動なので、ぜひ、毎日の生活のなかに取り入れてみてください。
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